【書評】「結果オーライの神様」は必ずいる!頑張るみんなに微笑む応援の本『進む、書籍PR!』(奥村知花著)
みなさんは「書籍PR」という職業をご存知だろうか?
その名の通り、担当した本と多くの人をつなぐため、さまざまなメディアを使いながらPRする仕事である。
今回紹介する『進む、書籍PR!』の著者・奥村知花さんは出版業界では非常に珍しいフリーランスで書籍PRを行う”パブリシスト”である。
担当した本の一つ、童話『おやすみ、ロジャー』(カール=ヨハン・エリーン著)は、約100万部のヒットとなっている。
実は、僕はこの本を読むまでは「書籍PR」という仕事の存在を全く知らなかった。そもそもこの仕事の存在を知ったのは、ある出版社の営業さんのFacebookの投稿を見たのがキッカケだった。
「フリーランスで書籍をPRする仕事って、どんな仕事をしているのだろう?そして、どのように本と読者をつないでいるのだろう?」…….書評ブロガーとしては気になるところである。「今後、書評ブログを書く上で参考になれば…….」、そんな思いを抱きながら『進む、書籍PR!』を読んでみた。
だが、実際に読んでみると、広報担当はもちろん、ビジネスパーソン、特に若い営業マンにとっての応援歌になる本であると思った。
今回はそんな本書が、なぜそのように思ったのかを中心に、本書のレビューを書いていきたい。
奥村流「書籍PR」という仕事
書籍PRという仕事は以下の4つのステップで行われる。
- 売り込もうとする本がダイヤモンドの原石か、ただの石かを見分ける
- どうカットすれば特徴を活かせるかを試してみる
- ダイヤモンドの原石をどう磨けば輝くのかを検討する
- 魅力的なダイヤモンドをどのお店におき、光をあてれば輝くかを考える
そして、この仕事は決して一人で行われることはない。出版社の営業、担当編集者、広告代理店担当者とチームを組んで行われる。
チームで行う上で非常に重要なのは、チームとして、皆が向いているベクトルが同じ方向であることだ。チームの力がキモなのだ。そのため、各関係者との調整が必要となる。実は、ここが書籍PRの腕の見せ所である。本書には奥村さんが心がけていることが分かりやすく書かれている。簡単にまとめると、以下のようになる。
- 本のウリ、関係者のリクエストに臨機応変に対応しながら「やっぱりこれだね」という一本道を見つける
- みんなが納得する一本道を見つけるために、相互のコミュニケーションを大事にする
- 失敗はつきもの!失敗したときはリカバリーの方法を考える!
- 迷っている暇はない!走りながら考え、前に進む!
特に最後に書いた「迷っている暇はない!走りながら考え、前に進む!」というのが、僕が本書を読んで感じた奥村さんの仕事のスタイルのように思う。
「大丈夫への橋をかける」で「結果オーライの神様が微笑む」ことに!
奥村さんの「迷っている暇はない!走りながら考え、前に進む!」という仕事のスタイル、状況が変化する中で結果を出すために常に考えフットワークを軽く行動している様子は、「迷わず行けよ!」(P37)というひと言に集約される。
そして、この言葉は忙しい中でもがき苦しむ中で前に進もうとしている我々ビジネスパーソンにとっても勇気のもらえるひと言ではないかと思う。
また、僕が本書を読んで非常に印象に残ったのが「大丈夫への橋をかける」(P39)という奥村さんの言葉だ。
「その人の口癖は、本人の足りていないものが出るんだってさ」
そのときのわたしの口癖は「大丈夫」でした。ということは、わたしには「大丈夫」が足りていないんじゃないか?と、本気で頭を抱えてしまいました。
(中略)
そのことに気がついてからは、足りていない「大丈夫」へ向かうにはどうしたら良いのだろう?この不安はこうして解決しよう。あの不安は準備することで取り除けるな、と「大丈夫」へと向かう橋をかけるようになりました。
この考え方は、わたしの仕事においても、とても効果的で、非常に役立っているのではないかと思います。
(奥村知花著『進む、書籍PR!』P39~P40)
「迷える子羊」であった書籍PRになる前の状態から「書籍PR」の看板を背負って人生へ。そして、『佐賀のがばいばあちゃん』(島田洋七著)、そして『おやすみ、ロジャー』のヒットなど、書籍PRとしての結果を出してきた。
そんな書籍PRとしての人生を振り返ったとき、奥村さんは「結果オーライの神様って、きっといる」と述べている。そして、「頑張っている人には結果オーライの神様は微笑んでくれる」とも述べている。
でもふと気が付くと、「誰にだって、結果オーライの神様がついている」のではないか、と思うようになったんです。なにもわたしの体験や経験だけが特別なのではなく、どんな人でも、とにかくゆっくりでもいいから、自分を信じて前を向き、なすべきことを一生懸命やっていれば、そのときは誰からも認めていないと感じているときでさえ、見ていてくれる人は必ずいるのだと。
その人の存在に気づいたとき、きっと、「結果オーライの神様が微笑んでいたのだ」と感じる、あるいは感じてきたのではないでしょうか?
(奥村知花著『進む、書籍PR!』P3)
考えながら走る仕事のスタイル、チームワークを築くためのアプローチ、そして周りを巻き込みながら一本道を見つけるアプローチは、出版業界のみならず、他の業界においても非常に参考になる。
そして、「結果オーライの神様がついている」というメッセージは読む人に力を与えてくれる。
そんな暖かさを感じる本書は、頑張るみんなへの応援歌になる本だと思う。
今回紹介の本
目次
- まえがき
- 第一章 書籍PRという仕事
- 第二章 「売り込みたい!」という作品と出会う
- 第三章 失敗したって、何度だって立ち上がる!
- 第四章 つなげる、つながる
- 第五章 思い出深い担当作品や愛しのエピソード
- あとがきにかえて
- 【書評】「読書とは何か?」を読者にその意味を問いかける本!『読書という荒野』(見城徹著) - 2018年7月8日
- 【書評】仕事は本来楽しいもの!それを実現する具体的な4つのステップ!『組織にいながら、自由に働く。』(仲山進也著) - 2018年6月25日
- 【書評】なぜモヤモヤと感じるのか?自分との対話のキッカケになる本!『モヤモヤとするあの人』(宮崎智之著) - 2018年6月17日