【MM書評】世の中を動かす情報を編集できるフレームワーク「8×3の法則」!『共感PR』(上岡正明著)
多くの広報担当者が自社の商品やサービスをTwitterやFacebook、最近ではInstagramに投稿し、「多くの利用者に自社の商品を知ってもらおう」と努力しております。しかし、情報の洪水に埋もれてしまい、PRがなかなか上手くいかない……
「どうやったってPRをしたら、商品を認知してもらえるようになるのだろう?」…….多くの企業の広報が悩みながら、日々のPR活動に頭を捻っているのではないでしょうか?
そんな悩みにお役に立つ本が、今回紹介する『共感PR』(上岡正明著)です!
著者の上岡正明さんは戦略PRのコンサルタントとして200社以上の広報支援を行なってまいりました。また、放送作家としても「ズームイン!!SUPER」「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「タモリのスーパーボキャブラ天国」「クイズ$ミリオネア」などの人気番組を手掛けてまいりました。
本書は「予算ほぼゼロで3億円の効果を生み出す方法」を書いた「PR戦略」の本です。そして、そのカギとなるのが「共感」というキーワードです。
「共感」を生み出すためには、どのように情報を作り上げていく必要があるのか?また、作り上げた情報をどのように仕掛けていくのか?本書には、「情報の作り方、見せ方、流し方」を考える戦略が「ここまで書いていいの?」というようなレベルで書かれております。
本書の紹介にあたって、下記にFreemindというソフトでつくったマインドマップを用いて掲載しております。以下に、関連書籍、本書のおすすめポイント、マインドマップ、そして、本書を読んだ感想を以下に掲載いたします。
今回紹介の本
目次
- プロローグ
- 第1章 「ジャポニカ学習帳」をどうやって大人買いさせたのか
- 第2章 <理論編>消費者が黙っていられない情報をつくる!「8×3の法則」
- 第3章 決戦前夜!仕掛け方を考えよう
- 第4章 <実践編>「8×3の法則」を現場に生かす!
- おわりに
- 付録 厳選バズるメディアリスト
本書のおすすめポイント
本書をおススメしたい人
- 「インターネットで情報を拡散させたい」と思っている企画担当者!
- 「お客様の心を動かしたい」と思っている営業担当者!
本書を読んで分かること!
- なぜバズが生まれるのか?その過程が分かる!
- バズを作り出す「8×3の法則」!
- 実際のサービスをもとに「8×3の法則」をPRに活用する方法!
マインドマップ
最後に
今は、どんな商品・サービスをPRする場合でも、「個人」に向けて働きかけ、共感してもらえなければ結果が出ない。Instagramを始めようとするSNSで個人が広めてくれたときの影響力は底知れません。
(中略)
企業側は、「一人ひとりがメディア」という意識を持った上で、個人が思わず発信したくなるようなPRを考えていくべきです。
(上岡正明著『共感PR』より P15~P16)
これは本書の「プロローグ」に書かれた一節です。
本書のキーワードの一つとして用いられている「共感」という言葉。「個人に共感されれば、予算ゼロで宣伝できる!だからSNSを企業PRに活用しよう!」と述べている数多くのビジネス書で用いられているキーワードです。
しかし、僕が知っている限り、今までの”SNS活用術の本”では「SNSを通じて発信し、共感を生むことで企業のPR戦略に活用しよう」というコンセプトを打ち出すことはできたものの、その方法については具体的に書かれている本はありませんでした。
本書『共感PR』が今までの”SNS活用術の本”との大きな違いは、「バズる力を持った情報を編集するための具体的なフレームワークを提示している」という点です。
それが、「8×3の法則」です。
では、「8×3の法則」とはどんなものか?本書では以下のように説明しております。
8(企業視点)
- 新規性
- 優位性
- 意外性
- 人間性
- 社会性
- 貢献的意義
- 季節性
- 地域制
3(消費者視点)
- 社会
- 人(ターゲット)
- メディア
(上岡正明著『共感PR』より P64)
自社の商品やサービスの強みを探る(8)
×
消費者に受け入れられるか検証する(3)
「8×3」のうちの「8」とは、1の「新規性」から8の「地域性」までの八つの性質を指します。
自分たちがPRしたい商品やサービスの強みが、この八つのうち、どれに該当するかを考えていきます。
ここで自社の商品やサービスの強みを探り、どこが優れているのか、他社よりも抜きんでているところは何かを明確にしていくのです。
(中略)
その後で、この「8」で洗い出した強みが、果たして消費の立場に立ったときに本当に求められているのかどうかを考えていきます。
それが、「8×3」の「3」の部分にあたります。
この後詳しく述べますが、「3」は、社会、人(ターゲット)、メディアの三つです。社会が求められている情報か、ターゲットとなる消費者に本当にアピールできる情報か、メディアが取り上げたくなるような情報か、その三つの視点で考えるのです。
(上岡正明著『共感PR』より P65~P66)
とはいえ、「8×3の法則」に従って要素を洗い出し、PRに向けて言語化するのはなかなか難しいものがあります。初心者がこれをやり抜くのは、最初はなかなか大変なことです。
そして、仮に言語化できたとしても、うまくいくかどうかはやってみないと分からない!しかし、「PRはトライ&エラーが容易に出来る」ので、いくらでもやり直しがきくのです。
もし、仮に反応がなかったとしても、それは「”企業の視点”と”消費者の視点”がずれている」、もしくは「消費者に言語化したメッセージが届いていない」ととらえ、もう一度洗い出した要素を見直しながら戦略を考え直せばいい。
トライ&エラーを繰り返すことで、本書の内容が知恵に変わり、血となり肉となります。
かつて、テレビや新聞といった旧メディアはネットの情報をバカにしておりました。しかし、今はWebやSNSが大きな力を持ち、旧メディアがネットの情報を後追いしている状況です。
とはいえ、旧メディアが情報を発信する力というのは、今だ大きなものをもっております。そんな現代において、「ネットメディアと旧メディアを上手く組み合わせながら情報を発信する力を持つということは、大きな武器を手に入れる」ことになります。
本書に書かれている「8×3の法則」は、読者に「消費者の心をくすぐり、世の中を動かすことができるかもしれない大きな力を与えてくれる可能性を秘めたフレームワーク」なのです。
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