【書評】やはりお客さま目線で”価値”を伝えることが重要!それがSNS活用のポイントとなる!『「つながり」で売る!7つの法則』(藤村正宏著)

ビジネス書, マーケティング

2016-07-19 00.37.59

 

マーケティングのビジネス書の中で面白いと思った本の一つに『マンガでわかる!安売りするな!「価値」を売れ!』があります。

 

この本は、主人公である業績不振が続く白馬のホテルの新米女将・中村奈々が悪戦苦闘しながらも、「価値」を伝えることでホテルの立て直しに奮闘する本です。そして、本書を通じて、「エクスペリエンス・マーケティングとは何か?」「お客さまに買ってもらうためには何が必要か?」のエッセンスがストーリーを通じて分かるようになっている本です。

 

【書評】”選ばれる理由”を考え、”独自の価値”を構築することで、”選ばれる存在”になる!『マンガでわかる!安売りするな!「価値」を売れ!』(藤村正宏著)

 

上記の本の著者である藤村正宏さんが新刊を出しました。それが今回紹介する『「つながり」で売る!7つの法則』です。

 

SNSの発達にともない、「つながりの経済」については多くの著書で述べられるようになりました。
そして、「つながりの重要性」については、SNSをやっている者にとっては、それを肌感覚でわかっているものと思います。

しかし、その一方で、「SNSで発信することが今後のビジネスを行う上で重要なのは分かるけど、どうやってやればいいのかが分からない」という声もよく聞きます。

そんな方のために、本書は「”つながり”で売るための7つの法則」として、そのエッセンスを事例を交えながら紹介しております。

そんな本書のポイントを以下にまとめながら、本書を紹介したいと思います。

 

 

SNSの普及で「お客さま」と「お友達」の境界線がどんどん曖昧になっていく!

 

フェイスブックなどの投稿を見ていると、「あの人がこのイベントに参加しているなら、私も参加しよう!」とか、「あの人が行っているあのお店って素敵!」などと思うことがありませんか?

また、イベントなどを開催していると「お友達がお客さま」ということが多々あります。

このように、SNSの発達にともない、友達とのつながりによってビジネスにも影響を及ぼすようになり、「お友達」と「お客さま」の境界線がどんどん曖昧になっていっているのです。

 

これまでのマーケティングは、顔の知らない誰かに、一方的に情報を届けることに必死だった。チラシを撒いたり、広告に投資したり、マス媒体が主流だった。

 

うちのお店は、「技術がスゴいよ~」とか、駅近で、駐車場があって「便利だよ~」とか、「全国に何店舗もあるんだよ~」とか、「コンテストで優勝したんだよ~」とか、規模や肩書を主張することで、顔の見えない人の顔色をうかがっていたわけです。
ところが、ここ数年、チラシや広告を出してもヤバイくらい反応がなくなってきた。

その理由は、ライバルが多いからか、情報過多だからか。

もちろんそれも一因ですが、それ以上に、SNSの普及により、口コミが加速しているからなのです。
いい口コミは、”関係性の深さ”により伝播する時代になったということ。
SNSのおかげで、いい口コミが世の中を早く広く駆け巡るようになりました。
口コミの出どころがわかりやすくなったことで、批判や中傷は少なくなってきている。
だから、恐れることなくコミュニケーションを活性化させて、お客さまとつながり、さらに仲良くなりましょう。
「お客さま」と「お友達」。

その境界線が溶け出してどんどん曖昧になっていく。
これが繁盛する会社や店の特徴になっていくのです。
(藤村正宏著『「つながり」で売る!7つの法則』より P36~P37)

 

「7つの法則」とは、どんな法則?

SNSが普及し、友達の投稿が周りの友達に大きな影響を持つ中で、「つながり」がビジネスに大きな影響を及ぼす時代になりました。

 

そんな時代だからこそ、「つながりの経済」という視点でとらえ、ビジネスを展開していくことが大事だと著者は述べております。そのカギとなる戦略が本書で述べている「つながりで売る!7つの法則」です。
では、本書で述べている「7つの法則」とはどんな法則でしょうか?

本書に書かれている「7つの法則」を以下に一覧にて掲載いたします。

  • 法則1:もう、見ず知らずの人からモノは買わない!
  • 法則2:出来事を「情報」に変換する!
  • 法則3:「モノ」を売るな!「体験」を売れ!
  • 法則4:「価値」を伝える!
  • 法則5:「共感」をつくり出す!
  • 法則6:風通しのいいコミュニティをつくる!
  • 法則7:つながりがつながりを生む!

(藤村正宏著『「つながり」で売る!7つの法則』より)

実際、SNSでしか販売していないにも関わらず、2年間で9000万円を売り上げた「ブランド」があります。

次に、本書に書かれているそんなブランドを見てみましょう。

 

SNSのみの販売で9000万円を売り上げる!

SNSやブログで「体験」を伝え、「価値」を伝える中で「共感」をつくりだし、つながりを通じて「コミュニティ」がうまれている。まさに「つながりがつながりを生む」という状態が生み出されております。

 

それを実現しているのが株式会社ピーアイです。この会社が立ち上げているブランドの一つに「Keisuke Okunoya」があります。このブランドの最大の特徴は「販売はSNSのみ!」なのです。ECサイトもつくらず、広告もキャンペーンも一切なし。ブログを書いているのみです。受付もダイレクトメッセージやメールで注文を受け付けるだけです。しかし、この一つのブランドだけで、2年間で9000万円の売り上げをあげております。

 

この秘密を解くカギが「コミュニティ」というキーワードです。

 

本書には以下のように書かれております。

 

また、洋服というのは、他人と同じものは着たくないと思うのは普通ですよね。

結構いいブランドの洋服でも他人とカブるとちょっとイヤです。

ところが奥ノ谷さんの洋服に関しては、他の人と同じことが誇らしいように、買った人たちがSNSに自撮りした写真をアップしています。

なかには、何人か集まってお揃いでポロシャツを着た写真を投稿している人もいる。

商品が届く時期になると、ぼくのフェイスブックやツイッターのフィードは、「Keisuke Okunoya」のポロシャツに占領されてしまうくらいです。

「Keisuke Okunoya」が自然に拡散していく。

そして、また新しいファンができる。

そういう流れができあがっているのです。

これはもう、ポロシャツという「モノ」を買っている感覚ではありません。

「Keisuke Okunoyaのコミュニティ」に参加しているということ。

楽しいコミュニティに参加することを買っているのです。

(藤村正宏著『「つながり」で売る!7つの法則』より P7~P8)

 

では、奥ノ谷さんはどのようなことをやってコミュニティを形成してきたのでしょうか?それは、SNSを通じた「コミュニケーション」を欠かさず行っているからです。

それは奥ノ谷さんが毎日、「個」を出した楽しい発信、気づきのある発信をしているから。

そして、SNSでつながっているたくさんの人たちと、いつもコミュニケーションをしているから。

 

奥ノ谷さんは1年のうちのほとんどを短パンで過ごしています。

オフィシャルもプライベートもいつも短パン。

周囲から「短パン社長」というニックネームで呼ばれています。

見た目がとってもおしゃれで、個性的です。

ブログ、フェイスブック、ツイッター、これは毎日更新しています。

この内容が面白く、共感を呼んでいる。

ファンが毎日のように増えている状態です。

ブログなどを通して、講演依頼や雑誌の取材、テレビ出演依頼など、たくさんくるようになり、さらにファンが増えていく。

 

結果的に「Keisuke okunoya」のブランドが牽引して、奥ノ谷さんの会社の他のブランドも、売上が年々あがっているという好循環ができているのです。
(藤村正宏著『「つながり」で売る!7つの法則』より P8~P9)

 

SNSで影響力をアップさせる3つのポイント

ブログやSNSを通じて気づきのある発信を続けていくこと。それは誰にでもできることです。

しかし、SNSでコミュニティを形成するような影響力をアップさせるにはポイントがあります。

本書には以下の3つのポイントが書かれております。

 

SNS上で影響力をアップさせるポイントを奥ノ谷さんの行動から考えてみました。

3つあります。

 

①誰に発信しているかが明確

「誰か」を思い浮かべて発信することです。

その人の役立つことを発信。

その人が喜ぶことを発信。

「これって役立つの?」「これって面白い?」「これは好きかなあ?」ーいつも第三者的な目線で自問自答しながら発信することで、影響力は増していきます。

 

②継続的な発信

奥ノ谷さんは、毎日ブログを書いています。

フェイスブックの発信も日に2~3回はしている。

ツイッターのツイートも日に10回くらい。

継続的に発信することで、信頼感を増し、リピーターを増やしているんです。

SNSで発信する行為は無料です。

ある意味、誰にでも平等に与えられている権利なわけです。

やらないのは、もったいないと思います。

 

③情熱がある

奥ノ谷さんの発信をみていると、本当に情熱を感じられます。

お客さまや読者に対する、熱い思いー「情熱」を惜しみなく出しているんです。

時に熱すぎて、ウザくなるときもあるほど(笑)。

でも今の時代、経営者自らがこれだけ「熱」を持ち続け、それを表現しているのは珍しいことです。

(藤村正宏著『「つながり」で売る!7つの法則』より P279~P281)

 

最後に

冒頭にも述べたように、SNS全盛のこの時代、「SNSを活用したマーケティング」に関する本はたくさん出ております。そして、どの本も「つながりが大事」「共感が大事」と言っております。

 
とはいえ、「SNSを通じて”つながる”ことで、ビジネスが拡大するのか?」というと、そうは簡単にはいきません。実際、大企業を含め、多くの企業や個人がSNSを活用したマーケティングを展開していますが、成功したのはごく一部。多くは「SNSで発信しても、どれだけビジネスに貢献しているの?」と懐疑的になる結果に終わることも多いのではないかと思います。

 

僕は、SNSをビジネスツールとして機能するためには、単に情報を発信するだけでは、なかなかうまくいかないと思っております。そして、SNSをビジネスツールとして機能させるためには、”ひと手間をかけて、伝える内容を深く考え、落とし込む”作業が必要ではないかと思うようになりました。
では、その”ひと手間をかけて内容を深く考え、落とし込む作業”とは一体何か?

 

それは、「お客さまを明確にイメージし、そのお客さまが必要としているものは何か、お客さまにとっての”価値”とは何か?をお客さま目線で考え、それを具体的に落とし込むこと」ではないかと思うのです。これは、ビジネスモデルを考える上でも重要なポイントとなります。

 

しかし、SNSを活用したマーケティングについて書かれている本の中で、このことを伝えている本はなかなかありません。
だが、本書『「つながり」で売る!7つの法則』は違います。著者の根幹の思想には

  • 「モノ」を売るな!「体験」を売れ!
  • 「価値」を伝えることが重要!

が重要であり、それを著書で伝えてこそ、SNSの活用が初めて生きるという思いがあります。それは今までの著者の本でも一貫して著者が言い続けてきたことでもあります。

 

しかし、「自分たちの商品やサービスの価値を伝える」ということは、簡単なようで結構難しいものです。なぜなら、「自分たちの商品やサービスの価値をお客さま目線で深堀りしていないため、わかっているようで具体的にはよくわかっていない」ことが多いからです。そのため、他との差別化するための価値が見えないため、「価格勝負」になってしまうケースが多くみられます。

 

本書には「お客さまに伝えるべき自分たちの商品やサービスの”価値”とは何か?」「それをお客さまに届けるためには、どのように発信したらよいのか?」が事例を踏まえて書かれています。もちろん、本書の意図しているところには”SNS”がありますが、それは次に考えるべきことで、法則の前半には「体験」や「価値」というキーワードがあるように、それが明確になってこそ、初めて”SNSで伝える”ことが生きてくるという考えが本書にはあるように思えます。
決して”SNSありき”ではなく、”伝える価値”が初めにあり、その次に”伝える手段”としてSNSがあるという構成になっています。それが、今までのSNSの活用を提唱したマーケティング本との違いのように思うのです。

 

「マーケティングにSNSを活用したい」と思う方は、是非、本書を手に取ってみてください。きっと、今まで気づかなかった”お客さまに伝える価値とは何か?”を考えるキッカケが与えられ、そして”どのようにSNSで伝えたらよいのか?”が深掘りできるヒントが満載ですよ!

 

 

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まなたけ
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「ビジネス書のエッセンス」管理人。 1966年生まれ・秋田県出身。 システムコンサルティング会社では、顧客管理及び営業支援システムの企業への導入・運用サポートを担当。 趣味は読書とランニング。仕事の傍ら、読んだビジネス書の感想やおすすめポイントを紹介するビジネス書書評ブログを執筆。 また、Webライターとしても活動中!

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