【書評】ルーティーンで「小さな変化」を積み重ねながら、「人生の変化」を起こしていこう!『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』(大平信孝/大平朝子著)
「やる気はあるけど、なかなか取り掛かることができない!」「やろうやろうと思いながらもダラダラと過ごしてしまう」……そんなときってありませんか?
今回紹介する本書『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』(大平信孝/大平朝子著)では、
- なぜ、ダラダラしてしまうのか?
- ダラダラを仕事モードに一瞬で変えるためには何が必要か?
- それを続けることでどんなことが起こるのか?
について、今注目を集めている「アドラー心理学」をベースに非常に分かりやすく書かれた本です。
では、「ダラダラ気分を一瞬で変える習慣」とはどのようなものなのか?
以下に本書のポイントをまとめながら紹介していきます。
コントロールできないことにフォーカスするのはやめよう!
冒頭でも述べたように、「やらないといけない気持ち」はあるのに、つい、ダラダラとしてしまうのはよくあることです。そして、そんな状態に陥り、しばらく時間が経つと、「何をやっているんだ!俺は!」と自己嫌悪に陥ってしまいます。
しかし、著者は「ダラダラとしてしまうのには理由がある」と本書で述べております。では、その理由とは何でしょうか?本書では以下のように書かれております。
私たちがやる気を失ったり、仕事が止まってしまったりする最大の原因は、自分がコントロールできないことに執着するから。じつは「コントロールできないこと=自分では結果を左右できないこと」をやろうとするから、行動できないのです。
(中略)
もし、あなたが望んでいないのに、仕事でダラダラしてしまっているのだとしたら、まずはコントロールゾーンにフォーカスしましょう。
先述したように、これをアドラー心理学では「課題の分離」といいます。あなたは、コントロールできることだけに集中すればいいのです。相手にしかコントロールできないものは、相手の課題としてとらえる。
このように境界線を引くことで、あなたが具体的にすべきことが明確になっていきます。
(大平信孝/大平朝子著『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』より P24~P27)
例えば、「上司や同僚に質問をしたのに回答がまだ来ない」としたとき、「まだ返事が来ないから、次に進めない」と仕事のやる気を失せてしまい、ダラダラしてしまうことはよくあることです。
ここでフォーカスしているのは「上司や同僚への質問に対する回答」ということ。しかし、「上司や同僚への質問に対する回答」という自分がコントロールできないことにいくらこのことにフォーカスをしても、回答をもらえるのが早まるわけではありません。
フォーカスすべきは自分ができること!「このとき、自分は何をするべきか」という行動にフォーカスをすることで、違った結果を生み出すことになります。
あなたの脳は「ルーティーン」で変われる!
とはいえ、人には”思考の癖”というものがあります。長年しみついた思考を変えることは、なかなか大変なものです。また、脳には本来「変化を嫌う」という「防衛本能」があります。このため、急激な変化は脳が「拒否反応」を示してしまいます。
では、そんな長年しみついた思考を変えたり、「防衛本能に打ち勝つ」方法というのはあるのでしょうか?
著者は”「ちょっとずつ」変化し続けること”が必要と述べております。
それでも、ダラダラしたり、やる気が出ない自分を変えようとするならば、変化を嫌う脳に、もっと抵抗する必要があるのでしょうか。
そんなことはありません。
それでは、変化するためにはどうすればいいか。
脳の「防衛本能」に打ち勝つためにはどうすればいいのか。
それは、「ちょっとずつ」変化をし続けること。脳は少しずつであれば、変化を受け入れるという性質を持っています。これを脳の「可塑性」といいます。
多くの方は、高い目標を掲げて、短期間で変わろうとしますが、小さな変化が積み重なって変わっていくのが、脳の自然なメカニズムなのです。
(大平信孝/大平朝子著『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』より P37)
本書では「ルーティーン」を取り入れることを提唱しております。
「集中する」「気分を変える」などの何らかのアクションを起こす前に「ルーティーン」として決まった行動を起こすことで、脳に「さあ、やるぞ!」とスイッチを入れるようにするわけです。
ルーティーンというと、メジャーリーガーのイチロー選手やラグビーの五郎丸選手が取り入れていることで有名ですが、これを仕事においても活用しようというわけです。
本書では「いつでも仕事モードに取り掛かれる50のルーティーン」として、著者の解説とともに、具体的な例が掲載されております。
ルーティーンを続けると人生は必ず好転する
著者は「ルーティーンを続けると人生は必ず好転する」と述べております。
このように、私自身が目標実現について真剣に向き合ってきた経験と、たくさんの人を目標実現に導いてきた経験から、自信を持っていえることがあります。
それは、ルーティーンを続けていくと、その人の仕事だけでなく、プライベートや人生全般にわたって、好循環が起きるということです。
(大平信孝/大平朝子著『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』より P215)
では、なぜそのようなことが起こるのでしょうか?それは、「ルーティーンによって行動が定着し、自己責任のもと、主体的に動けるようになるから」です。本書では「エネルギーの自家発電」と呼んでいます。
ルーティーンは、自分で決めた行動の積み重ね。ルーティーンを活用することで、あなたがコントロールできるものにフォーカスできるようになります。その結果、あなたの人生に主体的な流れが生まれるのです。
あなたが主体的に仕事をしているということは、行きたい方向に向けて、時間と労力を自ら注いでいる状態です。つまり、エネルギーを自家発電できるようになるのです。
(大平信孝/大平朝子著『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』より P218)
最後に
今回の書評の前に、安藤美冬さんの著書『「行動力」の育て方』を取り上げました。
http://manatake.net/bbooks/habitalize-20160921
この本では、「行動力のある人とない人の差は”習慣”にある」と述べ、名著『7つの習慣』を用いて独自の解釈を加えながら、「人生を好転させるために必要な習慣」について述べております。
とはいえ、例えば「7つの習慣などで述べていることは素晴らしい」とわかっていても、急激に行動を変えることで長続きがしなかったり、挫折することで嫌悪感を抱いたりとしたことは多くの方が経験しているはずです。
そんな挫折の経験をしている方が多いからこそ、コーチングの経験を活かしながら、「どうすれば自らの行動にイノベーションを起こすことができるのか?」ということにフォーカスし、脳の仕組みやアドラー心理学を用いながらその方法を伝えるために生まれたのが本書だと思います。
その中でも著者が本書を通じて最も伝えたいメッセージが以下でないかと思います。
誰しも、大きな挑戦をしようとして挫折してしまうことがあります。そんなとき、まずは、行動の入り口であるルーティーンから始めてみてください。この小さな習慣は失敗しようがありません。
私たちは、最終的には自分しか変えられないですし、自分が変わることを通してしか、人に影響を与えられません。
アドラーもいっているように「いま、ここ、私」から始めるのです。「いつか、どこか、誰か」は、永遠に来ません。
(大平信孝/大平朝子著『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』より P225)
この文章を読んだとき、「全てにおいて、大きな変化を起こすためには、まずは小さな一歩からだよな?」と思いました。
例えば、僕の趣味のランニング!
今でこそ、ハーフマラソンの大会で完走するなど、長い距離を走ることができるようになりましたが、2年前の自分は「2kmを走るのもしんどい!」と思っておりました。
走るようになったきっかけは「体調を崩した」こと。「体力がなければ仕事をやり遂げることはできない」と感じたことがきっかけでした。
そんな中で触れたのが経営者が時間の合間を縫ってランニングを行いながら体力を維持している記事でした。ただ休日におとなしくしていても疲れが残ってしまうし、「手軽にできる運動であるランニングを行いながら汗をかいて変化を起こそう!」と思い、走り始めました。
最初の頃は2kmを走るのもしんどかったです。しかし、「まずは、この曜日のこの時間にランニングシューズをはこう!」とアクションを決めたことで、徐々に「よし、走るぞ!」とスイッチが入るようになり、行動を積み重ねることで走れる距離が徐々に伸びていきました。僕の場合、ランニングを行うスイッチは「ランニングシューズをはく」という「ルーティーン」でした。
本書を読むと、「小さな一歩を踏み出すことの重要性」を説いているように思えます。その一歩として活用してほしいと著者が思っているのが「ルーティーン」なのだと僕は考えます。
前へ。一歩前へ。
あなたの意志で。
行動あるのみ。
(大平信孝/大平朝子著『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』より P226)
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