【書評】人生を変えるかどうかは、”本気”で”主体的”に”行動し続ける”ことができるかどうか?にかかっている!『「行動力」の育て方』(安藤美冬著)
以前、”気になる本”としてあげた『「行動力」の育て方』(安藤美冬著)を読みました。
http://manatake.net/bbooks/kininaru/kininaru-20160708
この記事では、
「著者が7つの習慣を読み、どのように実践してきたのか?」
「著者が実践する7つの習慣のポイントとは?」
という”気になるポイント”を上げ、”気になる本”として紹介いたしました。
実際に読んでみると、”どのようにして7つの習慣に出会ったのか?”、”著者がどのように7つの習慣を解釈しているのか?”を知るとともに、”どのように行動力を習慣に変えていき、結果を出していったのか?”がよく分かりました。
特に「”10年前は人生のどん底にあった”と本書で述べていた安藤美冬さんが現在の活躍に至るまで、どのように自分を変えていったのか?そこにおける7つの習慣が果たした役割はどのようなものだったのか?」については注目すべきものがあります。
以下に本書のポイントをまとめながら、本書を紹介していきます。
行動力のある人とない人の差は「習慣」である!
著者はどのようにして『7つの習慣』に出会ったのでしょうか?本書の「はじめに」には、安藤さんが『7つの習慣』と出会ったときの様子が描かれております。
今から10年前、26歳の私は「人生のどん底期」にいました。
数百倍の競争倍率を勝ち抜いて大手出版社に新卒入社したまではよかったのですが、人間関係や仕事にもつまずき、ストレスと不安で朝起きるのもやっと。
そして社会人3年目のある日、心身の不調を訴えて救急車で運ばれ、しまいには心療内科で「抑うつ症」と診断されて会社を休職することになりました。ネガティブな気持ちを発散すべく高価な洋服やバッグを買っては散財し、部屋にはそれらのモノを食べ散らかした菓子類の残骸がいっしょくたの状態。休職中にもかかわらず、1日50万円を使う日もあり、いつも金欠という有様でした。
(中略)
このままじゃ、自分はダメにになってしまう。この「最悪の状況」を脱する方法はないだろうか。
藁にもすがる思いで、当時からよく立ち寄っていた書店でたまたま見つけたのが1冊の本『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著/キングベアー出版)でした。
(安藤美冬著『「行動力」の育て方』より P8~P9)
今のご活躍を見ると、そんな時期があったとは想像もつきませんでした。先に書いた10年前の状態から抜け出した安藤さんが『7つの習慣』と出会い、そのエッセンスを行動に移すことで人生を変えることができたのです。
では、そんな安藤さんが本書『「行動力」の育て方』で伝えたかったこととは?それは以下のことです。
私がお伝えしたいのは、行動こそが、人生を変える力を持つということです。今流行りの「願えば叶う」なんていうものは起こりません。
しかしながら、最初の一歩は勢いよく踏み出せても、行動が続かないという人もまた多いのです。
行動は続けてこと「行動力」になります。
そして、行動力のある人とない人の差は「習慣」にあります。
(安藤美冬著『「行動力」の育て方』より P13~P14)
本書は、安藤さん自身の『7つの習慣』の”超訳”を交えながら、『7つの習慣』の実戦ガイドとして、習慣力を身につける方法が書かれております。
7つのマイナス習慣
安藤さんが会社員勤めの頃、「上手くいかなかった」と述べております。そのときの思考の癖を「7つのマイナス習慣」と述べております。これを見ると、「どういう状況だったら上手くいかないのか?」ということが良く分かります。
- 第1のマイナス習慣:人や環境のせいにする
- 第2のマイナス習慣:現実から目をそらす
- 第3のマイナス習慣:焦りや不安から行動する
- 第4のマイナス習慣:他人の成功から学べない
- 第5のマイナス習慣:考え過ぎて動けない
- 第6のマイナス習慣:当たり障りなく振る舞う
- 第7のマイナス習慣:周囲に翻弄される
(安藤美冬著『「行動力」の育て方』より P22~P34)
安藤さんはこのときの状況を「現実に立ち向かうことからひたすら逃げ回っていた」(本書 P36)と述べております。また、「すべてを悪い方向に持っていったのは、こうした私自身のあり方だったのです」(本書 P36)と述べております。自分の気持ちのあり方で、良くも悪くもなるということですね。
すべては自分から始まる
『7つの習慣』は、多くの成功者たちの行動を分析した結果をスティーブン・R・コヴィー氏が7つの「習慣」としてまとめたものです。以下に「7つの習慣」を記載いたします。
- 第1の習慣:主体的である
- 第2の習慣:終わりを思い描くことからはじめる
- 第3の習慣:最優先事項を優先する
- 第4の習慣:Win-Winを考える
- 第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
- 第6の習慣:シナジーを創り出す
- 第7の習慣:刃を研ぐ
(安藤美冬著『「行動力」の育て方』より P39~P41)
以降、本書では安藤さんの「7つの習慣の超訳」を交えながら、「自分を変えるための習慣力」について、どのような行動をすれば良いのかが書かれております。
そんな「自分を変えるための習慣力」について書かれている中で、僕が最も重要であり、かつ、基本となるのが以下の文章だと考えます。
第1の習慣 【超訳】すべては「自分」からはじまる
時代のせい、社会のせい、会社のせい、あの人のせい……。
うまくいかない時は、つい、そんな言葉を口にしがちです。
でも、人生を「自分のもの」にしたいなら、「自分」から動かなければなりません。
自分から動く、つまり「主体性」こそが行動の源泉なのです。
「すべては自分次第」
そう決意したとき、それまでとまったく違う自由な人生が始まります。
(安藤美冬著『「行動力」の育て方』より P44~P45)
最大限に自分を生きる
本書の最後に「番外編」として「プラス1の習慣」が書かれております。それは以下の内容です。
番外編 プラス1の習慣 【超訳】最大限に自分を生きる
どんな人にも、使命があり、すべての人生に価値があります。
「このために生まれてきたのだ」と思えることに気づけたら、それは壮大な行動力の源泉になるのです。
自分の奥底から湧き出る「心の声」にしたがって行動する時、自分しか成し遂げられないゴールへの道筋が見えてきます。
(安藤美冬著『「行動力」の育て方』より P174~P175)
「誰しも人には使命がある!そして、それに気づくことが出来たとき、行動の源泉になる」という、安藤さんから読者に対する「一番伝えたいこと」が、ここに込められている気がします。
最後に
著者の安藤美冬さんが注目を集め始めたのは2012年だったと思います。
このころ、日本は働き方に対する見直しが大きくクローズアップされ、「ノマド」という言葉がブームになった頃です。そして、時代の寵児として注目を集めたのが「ノマドワーカー」というライフスタイルを体現していた安藤美冬さんでした。
この当時の安藤さんの活躍ぶりを見ると、うまくいくまで苦労はあっただろうけど、本書に書かれているような「人生のどん底期」を味わっていたとは思えませんでした。特に序章”私が「最低な社会人」だった頃の「7つのマイナス習慣」”に書かれている安藤さん自身の状況は、安藤さんが持つイメージとはかけ離れたものでした。
新社会人の頃は朝の6時台に起きてゆっくりとお風呂に入り、朝食を食べてから新聞で時事ニュースをチェックするだけの余裕があったのですが、仕事や人間関係でつまずくようになってからは、心の余裕をなくして、基本的な生活が乱れてしまいました。
その日の体調や気分、パフォーマンスの高さを決めるはずの朝から、洋服や書類、食べ散らかした食べ物の残骸で雑然としている部屋で時間ギリギリに起きて慌てて支度をし、バッタバタの状態で家を出る始末。
ところが、やっとの思いで出社した頃には、私の頭の中はすでに現実逃避。
職場の人に元気に挨拶をするどころか、浮かない顔をしながら、頭の中では退社後は何をしようか、友達とどこで遊ぼうかということでいっぱいでした。
(安藤美冬著『「行動力」の育て方』より P24~P25)
このような状況から抜け出し、今のような活躍に至るまでには、相当自分自身と向き合いながら自分自身を変えるための不断の努力を重ねてきただろうと思います。そして、時には胸がえぐられそうになることも……
7つの習慣の基本となるのは”第1の習慣:主体的である”だと思います。そして、本書を通じた安藤さんの重要なメッセージも”すべては「自分」から始まる”にあると思います。特に、”人生を変えるために、本気になれるか?”ということを、読者に問いかけているような気がいたしました。
「こうした夢はあるけれど、とりあえず、今の会社で働きながら様子を見ます」
「一応、英語の勉強をはじめているのですが、仕事が忙しくて時間を割けていません」
「まあ、収入がなくなるのは困るので、どうなるかわわかりませんが……」
これでは、少なくとも現時点では実現は難しいと思いました。なぜなら、期限も、具体的なステップもなく、何を優先したいのかがまるで見えてこないばかりか、「とりあえず」「一応」「まあ」などの曖昧な言葉が連発されたからです。
こうした言葉が口をついて出てくるうちは、人は本気などなれません。
(安藤美冬著『「行動力」の育て方』より P48)
「とりあえず」「一応」「まあ」という言葉は、結果的に、その人の行動に現れます。「主体的に動く」ということは、「自分が本気になって、自分の意志で動く」ということに他なりません。本書の最初にこの問いかけを持ってきたということで、「本気にならなければ、人生を変えることなどできないよ!」という安藤さん自身のメッセージを読者に伝えているように思えました。
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