【書評】メタボ会議を筋肉質会議に変える!紙1枚にまとめた「最強会議フレームワーク」!『ムダゼロ会議術』(横田伊佐男著)
とにもかくにも日本の会社は会議が多い!
「部門内会議」「進捗会議」「顧客打ち合わせ」など、スケジュール表を見ると、会議という名のつくものが多く占めていることに気づく。
特に大企業、そしてマネジメント層となると「業務時間帯は何等かの打ち合わせや会議が入っており、自分の仕事ができるのは業務時間帯以外」というシャレにならない現実に直面している人は多いと思う。
その一方で、
「なんでこんな会議をやるの?」
「こんな会議、時間のムダ」
「この会議の時間、自分の仕事の時間に充てることができたら、どんなに効率が上がるだろうか?」
と、会議に対する不満はことのほか多い。
だが、「長くて内容の薄い会議が変われば、より意思決定も行動はもちろん、人生も変えることができる!」……そんなテーマを思い描きながら「メタボ会議を筋肉質会議に変える方法」について書かれた本が今回紹介する『ムダゼロ会議術』(横田伊佐男著)である。
Contents
筋肉質会議の実現のカギは「フレームワーク」にある
本書の特徴を簡単に紹介すると、以下の通りとなる。
- メタボ会議の4つの特徴(「時間が長い」「中身が薄い」「決まらない」「発言がない」)にフォーカスし、ムダを省く方法を提示
- 筋肉質会議実現のために、会議前、会議中、会議後でそれぞれやるべきことを「1枚のフレームワーク」に集約
- 20代、30代、40代、50代のそれぞれの年代に求められる役割を分かりやすく解説
その中でも本書の最大の強みといえるのが「筋肉質会議を実現するために必要なことを1枚のフレームワークとして集約している」ことにある。
実は、「ノウハウとして使えるか?使えないか?」の大きな分かれ目になるのが「全体像を俯瞰できるかどうか?」である。
いくら素晴らしいノウハウであっても、都度、本を見ないと分からないようだと実践で使うのは難しくなる。そのため、「ノウハウはできるだけ簡単に、しかし効果が大きい」というのが必須となる。
本書に掲載されている「最強会議フレームワーク」は、会議前、会議中、会議後の3つのフェーズに分かれており、それぞれのフェーズで以下の観点からまとめられている。
- うまくいく会議
- うまくいかない要因
- 対策
「それぞれのフェーズにおいて何をすればいいのか?」が1枚に集約されているからこそ、どのようにしてゴールに持ち込めばいいのかが分かるし、行動がしやすくなる!
会議で圧倒的な行動力を生み出す源がここにあるのだ!
会議の「前」「中」「後」でそれぞれ何をする?
では、会議前、会議中、会議後では何をするのか?
本書に記載の内容をもとに、以下に概略を紹介したい。
会議前
- 決裁者、専門家など目的に応じて適切な人を呼ぶ
- 呼ばない人には「15秒ケア」でしこりを残さずどいてもらう
- 「What→Why→How」で論点を明らかにする
会議中
- 会議の種類に応じてゴールを設定する
- 鳥の目で「ぼんやり」とシナリオを書く
- 会議の前半はボルテージを上げて「広げる」
- 会議の後半は真っ二つに「たたむ」
会議後
- 3分で「タスク」「担当者」「期日」の”Next Step”を書く
- 議事録は必ず「当日配布」
会議に限った話ではないが、あらかじめ「何を行うか?」を決めておくと行動しやすい。
会議においても同様である。そのため、「ラフでもいいから、自分なりの会議運営のシナリオを逆算で描く」ことが非常に重要となる。
自分なりの会議運営のシナリオを持つことで、何も決まらずに「次回、同じメンバーで集まって検討しましょう」ということが確実に減る。
そして、会議で決まったことを”行動”として落とし込み、その日のうちに議事録として関係者に共有することですぐに行動に移すことができる。
メタボ会議と筋肉質会議の差は、会議後の行動のスピードに大きな差が生まれると思うのだ!
会議も変われば働き方も変わり、人生も変わる!
著者である横田さんも会議を通じて評価が変わり、人生のターニングポイントとなっている。
筆者が属していたその部門は新設されたばかりで注目度が高く、社長も黙って腕組みをしながら、会議の成り行きを見守っていだ。
ただ、会議の中身といえば、「4つの悩み」を絵に書いたような論点の定まらぬ、「長く薄いメタボ会議」だった。議論は枝葉末節に終始し、中堅社員同士のライバル心も手伝って、なかなか合意に至らなかった。
実はこの時、超大型台風が迫り、早期に会議を撤収しないと、都内へ帰還できない危険が迫っていた。それなのに会議はグダグダと続き、一向に終わる気配がない。
業を煮やした私は、それまで誰も使っていなかったホワイトボードに議論を整理し、論点を絞り込んでいった。
(中略)
そのやり取りを見ていた社長が、翌年に筆者をその注目部門の責任者にしたのだ。理由を聞くと、混沌とした会議を短い時間で取り仕切った姿を見て、大きな仕事を任せるに足りると判断したとのことだった。
この昇進をきっかけに、サラリーマンとして大きなプロジェクトに挑戦できたし、現在の独立につながることになった。
キャリア人生を変える重要なターニングポイントとなったのだ。
『ムダゼロ会議術』(横田伊佐男著)P8~P9
昨今、注目を集めているのが「働き方改革」である。
長時間労働、過労死、心身に及ぼす影響など、働き方に関する議論はピークを迎えている。
また、大企業から中小企業まで、残業の削減などを中心に、働き方を見直す動きが検討されている。
時間ベースで考えたとき、実は、個人的に一番インパクトがあるのが「会議の変革」だと思う。
なぜなら、冒頭にも述べた通り、大企業、そしてマネジメント層となると「業務時間帯は何等かの打ち合わせや会議が入っており、自分の仕事ができるのは業務時間帯以外」というシャレにならない現実に直面している人は多いと思うからだ。そのため、会議が変わると時間の使い方が大きく変わり、行動も変わるから働き方も変わると思っている。それは、「働き方改革」にも最終的にはつながるのだ。
しかし、現実問題として会議を進めるのはなかなか難しい。なぜなら、会議を進めるには、ファシリテーションを含め、一定の技術を必要とするからだ。そのため、世の中には会議に関する本もたくさんある。その中で、本書は会議を進めるためのフレームワークとして活用できる。
会議について悩む人、会議を体系的に進める方法が知りたいという人は、参考書の一つとして手に取ってほしい一冊である。
今回紹介の本
目次
- はじめに
- 序章
- 第1章 会議「前」(ムダゼロ会議術・基本編)
- 第2章 会議「中」(ムダゼロ会議術・基本編)
- 第3章 会議「後」(ムダゼロ会議術・基本編)
- 第4章 年代別 傾向と対策(ムダゼロ会議術・応用編)
- 第5章 上級者の技(ムダゼロ会議術・応用編)
- おわりに
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