【書評】形式的な辞典では分からない”現場視点”の用語辞典!『ビジネス版 悪魔の辞典』(山田 英夫著)
今回はちょっと気になっていた本を紹介いたします。『ビジネス版 悪魔の辞典』です。
この本ですが、タイトルから推測されるように「用語辞典」です。
しかし、”普通”の用語辞典ではありません!”普通”の用語辞典は一般的に知られている「タテマエ」の用語を記載しておりますが、物事には”表と裏”があるものです。そして、これらの用語にも「タテマエ」には現れない”裏”という側面があります!
本書『ビジネス版 悪魔の辞典』には、通常では教えてくれない日本的組織の実態、そして仕事の中で皆が感じている1018語の「本当の意味」が書かれております。
以下に本書から「キャリア・デザイン」「担当部長」「残業」「ビジネス・カジュアル」「起業家精神」を抜粋し、本来の意味を掲載いたします。
【キャリア・デザイン】
自分の仕事人生のプランを自ら設計し決定すること。日本では平成に入って以降、重要視されるようになった。
【守秘義務】
一定の職業や職務に従事する者・従事した者・契約をした者に対して、法律の規定に基づいて特別に課せられた「職務上知った秘密を守る」べきことや、「個人情報を開示しない」といった、法律上の義務のことを指す。
【サービス残業】
使用者(雇用主)から正規の賃金(労働基準法が定める時間外労働手当])の全額を支払わず、その責任を免れる時間外労働の俗称であり、サビ残、賃金不払い残業ともいう。雇用主がその立場を悪用することで被用者(労働者)に対して強制を強いる場合が一般化している。
【ビジネス・カジュアル】
男性用の平服に用いられている服装である。又はオフィスカジュアル。
【裁量労働制】
日本における裁量労働制は労働基準法の定めるみなし労働時間制の1つとして位置づけられており、この制度が適用された場合、労働者は実際の労働時間とは関係なく、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなされる。業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用できるとされる。適用業務の範囲は厚生労働省が定めた業務に限定されており、「専門業務型」と「企画業務型」とがある。導入に際しては、労使双方の合意(専門業務型では労使協定の締結、企画業務型では労使委員会の決議)と事業場所轄の労働基準監督署長への届け出とが必要である
(『Wikipedia』より)
では、本書『ビジネス版 悪魔の辞典』で書かれているこれらの用語はどのような意味でしょうか?以下に『ビジネス版 悪魔の辞典』に係れている意味を抜粋します!
「悪魔の辞典」で書かれた内容(一部抜粋)
【キャリア・デザイン】
何度も設計するが、その通りに施工まで至ることはまずない。
【守秘義務】①自分が守れないものを、他人に守らせる約束。
②自分の都合が悪くなった時に、自己防衛のために使う、義務という名の黙秘権。
【サービス残業】
昔は、上司が自分の成績を上げるために部下に強要した働き方。現在は、嫌いな上司を飛ばすために、上司には黙って行うが、人事には気づいてもらうように行う。
【ビジネス・カジュアル】
おじさんにとっては、ネクタイをとるだけ、あるいはゴルフウェア。もともとおじさんは、スーツ、ゴルフウェア、寝間着の3着のみで、生活できる。
【裁量労働制】
会社にとって最良で、社員にとっては裁量のない制度。
(『ビジネス版 悪魔の辞典』より)
最後に
『ビジネス版 悪魔の辞典』はいかがだったでしょうか?
用語に付随した意味を読むと「確かに!」と思うことが多々満載です。
しかし、その一方で、用語の意味を読むことで、労働環境や仕事を取り巻く環境について、著者なりの問題意識が見え隠れします。
【同一労働同一賃金】
①年功賃金制度下では、どうやっても整合性がとれない。②「価格ドットコム」がなぜ存在するのか、考えてみよう。
(『ビジネス版 悪魔の辞典』より)
「同一労働同一賃金」は「正社員、パート、アルバイトの雇用形態、そして人種、国籍、宗教に関係なく、同一の仕事に従事する者に対して同一の賃金を支払う賃金政策のこと」という意味です。
しかし、現実にはこのような賃金政策を行うことはなかなか難しいものです。なぜ難しいのか、その理由を「価格ドットコム」を用いながら、著者なりの見解を示唆しております。
このように「用語の書かれている意味を面白く笑うだけでなく、著者なりのビジネスを取り巻く環境に対する”ブラックユーモア”」が見て取れます。
とはいえ、本書の本質は「笑いながらビジネス用語の意味を味わう本」だと思います。是非、笑いながら本書を読んでみてください!
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